「自分を知的に見せたい」という思いを持っている方は数多くいらっしゃいます。
自分を知的に見せるためには、次のことが重要です。
知識量よりもトークが大事
専門用語は分かりやすい言い換えと一緒に使う
話すことを理解してから話す
「知的に見える」ためには、内容よりもどう見えるかを意識するようにし、トークの仕方を工夫しましょう。
専門用語は理解力を高める大事なツールです。
しかし、馬鹿に見えてしまうパターンも存在するので、専門用語を使用する際は分かりやすい言い換えと一緒に使うようにしましょう。
そして、うまく専門用語を言い換えるためには「例える能力」が必要になります。
「例える能力」を鍛えたい場合は、専門書ではなく専門的な物についてわかりやすく解説している解説書を読むことがおすすめですよ。
また、話したいと思うことについては十分理解してから話すようにしましょう。
知識量がトーク内容と比例していないとか、専門用語を駆使しても賢く見えないということは、結局話す人がトーク内容を理解していないことが原因の場合が多いです。
物事を分かりやすく説明するためには、きちんと理解していないと語れません。
「人に理解してもらうにはまず自分から」という言葉をしっかり胸に刻みましょう。
ではもう少し詳しく解説していきます。
「知的」とはどういうことか?
さて、そもそも「知的」とはどういうことを言っているのでしょうか。
だいたいの人は「知的」ということについて間違った認識を持っています。
知性・知識の意味をたどると、「分類すること」、「収集すること」などさまざまな意味があります。
しかし、一般的には「話す内容がすごい」、「知識量が豊富」というような豊富な知識量のことを指すことが多いですよね。
確かに一般的に言われている「知的」のイメージは、知識があるという「知識量」を指すことが多いのですが、実際に重要なことは知識の「見え方」なんです。
例えば、豊富な知識を持っている人がいるとします。
その人が100の知識(内容)を持っていたとしても、トーク能力、つまり、人に伝えたり、知識を表現する能力(見え方)が3の能力しか無い場合、その人が他人に与える知的イメージは3しかありません。
知的に見えるためには、「トーク=アウトプット」が重要
しかし、10の能力の知識しか持っていない人であっても、10の知識を10すべて表現できるとしたらどうでしょうか。
知識量は10分の1しかありませんから、知識量の部分では負けているかもしれません。
しかし、他人に与えられる知的イメージは100の知識量を持っている人の3倍以上になります。
さらに自分の経験に基づいて独自の考え方を表現したり、物事を多面的に解説することもできれば、10の知識以上の知的なイメージを相手に与えることができるのです。
自分を知的に見せるためには、知識量を増やす=インプットを工夫するよりも、知的に見えるトークを磨く=アウトプットを工夫することが重要なことがお分かりいただけますでしょうか。
知性と知識量はイコールではない
つまり、知性と知識量とは別物なのです。
もちろん知識量も知性との関連はありますが、「知的に見える」ということは、外面的な要素の方がより重要性を占めており、知識量よりもトークの方が決定的な役割を果たすということです。
例えば、あなたが「料理人」になったと考えてみてください。
あなたの目の前には各地方から届いた素晴らしい食材が並んでいます。
これだけ素晴らしい食材が揃えば、まずい料理なんて出来るわけがないと思いますか?
そんなことはありませんよね。
実は良い食事を作るためには、料理の技術が必要です。
料理の技術がなければどのような素晴らしい食材があってもまずい料理ができてしまいます。
同様に「知的に見える」ためのトーク技術とは、知識をうまく活用し、人の心を動かしたり、説得力を高めたりすることなのです。
そのためには、知識をうまく料理するための技術=トークが重要になってきます。
専門用語は使ってもいい?
「知的に見える」ためには、「語彙力=ボキャブラリー」が必要であるという人もいますが、それは知識量とほぼ同じことなので割愛します。
また、「専門用語」を多用すると嫌がられるので使わないという人もよくいますが、それは専門用語の使い方を間違えているだけで専門用語自体には罪はありません。
心理学の領域では「難しい言葉(専門用語)ばかりで話している人は馬鹿に見える」とよく言われています。
しかし、専門用語を使わないようにすれば、頭が良く見えるのでしょうか。
残念ながら、それは違います。
専門用語ばかり話している人は自分で理解していない用語を自分で分かった振りをして使っているため、相手からすると結局理解していないなと思われるので、結果として馬鹿に見えてしまうのです。
つまり、自分で理解していないことを話しても相手には理解していないことがお見通しなのです。
専門用語にはわかりやすい言い換えをセットで使用する
私もよく専門用語を使います。
ただ、「心理学には〇〇理論があり、内容は××です。それをわかりやすく言うと○○になります」というように、専門用語を分かりやすい言い換えてあげるというトークテクニックを使用します。
他人を説得するためには、専門用語を使うことも大切です。
しかし、自分が専門用語をきちんと理解していない場合や、相手が専門用語を理解していない場合は説明している自分が馬鹿に見られてしまいますので、注意が必要です。
つまり、専門用語を使用する場合はわかりやすい言い換えもセットで話さなければなりません。
例え話や具体例を交えて、専門用語を相手にも分かりやすいように言い換えることが、自分が「知的に見られる」ために非常に大切になってきます。
まとめ
では、本記事でお話した内容を振り返りましょう。
知識量よりもトークが大事
専門用語は分かりやすい言い換えと一緒に使う
話すことを理解してから話す
トークすることを前提に知識を取り入れるようにしましょう。
トークが知的に見えるためには、専門用語の意味をしっかりと理解し、分かりやすい表現にしてあげましょう。
補足
最後に、会話を円滑にするための科学的公理をご紹介します。
言語学における語用論(pragmatics)という領域で使用される「グライスの公理」というものです。
グライスの公理は、ここまで言ってきた内容を精緻にしたものです。
簡潔に言うと、会話には4つの要素があり、4つの要素が守られていないと会話が円滑に進まないという公理です。
4つの公理とは以下の4つです。
質の公理
量の公理
関係の公理
様態の公理
「質の公理」は、自分が分かっていることを話すということ
「量の公理」は必要な量を話すということ
「関係の公理」は状況との関係に合った話をするということ
「様態の公理」は会話の様態、簡潔で明瞭な話をするということです。
本記事に話を当てはめると、会話は知識量(量の公理)だけでなく、トークの仕方(関係の公理、様態の公理)が大事だよということです。
トークを知的に見せたい人は、まずは自分が話していることを理解すること(質の公理)から始めてみましょう。