前提知識
ダイエットで痩せるのはもちろん大変ですが、一度落ちた体重をキープしつづけるのも大変なことです。
無理な減量に成功しても、リバウンドで大変なことになってしまうケースはよく聞くところでしょう。
リバウンドにはいくつか原因がありますが、そのひとつとしてよく挙げられるのが「代謝の低下」です。
これは体重が減ることで体が作り出す熱も下がるというものです。
具体的には、体重が10%減ることで総エネルギー消費は20〜25%ほど減ります。
10〜15%はダイエット前の体なら作り出せたはずのエネルギーの低下によるものです。
そこまで大きい割合ではありませんが、消費できないエネルギーが毎日となれば無視できないでしょう。
食事内容による実験を行ったところ、高タンパク食でそれが改善できるということが判明しました。
研究内容
リバウンド問題を解決するにはどうすればいいのか、ということが2019年Mathijs Drummen氏らの研究で分かりました。
実験対象は年齢60歳半ばぐらいで平均BMIが29という38人の参加者です。
さらに過去に約11kgほどのダイエットに成功した人だけが選ばれました。
実験では38人の参加者を
・通常プロテイングループ:タンパク質15%、糖質55%、脂質30%の食事を摂取
・高プロテイングループ:タンパク質25%、糖質45%、脂質30%の食事を摂取
という食事内容でグループ分けしました。
それぞれの比率の食事だけを48時間続け、食事の量には決まりがありません。
ただし、実験中は寝る時間を厳密に守り、運動もしないことで、エネルギー消費の差を出さないようにしてあります。
その上で全員の総エネルギー消費を測定し、睡眠代謝率、食事誘発エネルギー消費などを確認しました。
研究結果
二つのグループで数値を比較したところ、
・高プロテイングループは、通常プロテイングループよりも安静時のエネルギー消費量が大きい
・通常プロテイングループは、予測よりもエネルギー消費量が低い
・高プロテイングループは、カロリー摂取量は同じだったにもかかわらず、通常プロテイングループより1日120kcalほど消費カロリーが多いという結果が得られました。
同じ量の食事を食べたとしても、タンパク質の割合を増やすことで1日120kcalも多くエネルギーを消費できるかもしれない、
ということです。
まとめ
リバウンドの原因の一つはダイエットによって消費エネルギーが減少してしまうことです。
解決策としては、毎日の食事で糖質の比率を10%ほど下げ、その分タンパク質の比率を上げればいいのです。
食事内容を改善することが、リバウンドを防ぎ長期的に体重を維持するのに役立つでしょう。
補足
高タンパクがエネルギー消費の維持するため役立つという話はさらに昔からありました。
具体的には「体重1kgあたり1.2gのタンパク質を摂っていれば、総エネルギー消費は落ちにくくなる」というデータもあります。
「体型を維持したければ体重1kgあたり1.2〜1.6 gのタンパク質を摂る」ぐらいに覚えておきましょう。