読書するには、紙の本で読んだ方が良いのか、電子データなどで読んだ方が良いのかという話題が数年前からありましたが、いよいよ決着が近づいてきました。

結論から言うと、紙の本で読書する方が記憶の定着率が良いということです。

プリンストン大学の研究結果は「手書きの方が記憶に残る」

プリンストン大学から出ている論文では、学生達にTEDの動画をメモを取らせた上で、動画の内容を確認テストしました。

メモの取り方は2通りです。

①パソコンを利用して、メモを取る。

②紙とペンを利用して、メモを取る。

テストの結果、事実に関する質問は、2グループの結果に差はありませんでした。しかし、概念に関する質問は、手書きのグループの方が良い成績となりました。

ここでいう事実に関する質問とは、「日本の人口は?」というような具体的なデータを聞く質問です。概念に関する質問は、「日本とアメリカの医療に関する違いは?」というような要点や考え方を聞く質問です。

さらに、確認テストを行った1週間後に再度テストをした所、手書きのノートで復習したグループの方がパソコンで復習したグループよりも成績が良かったとのことでした。

理由は不明確ですが、キーボード入力は早くなるため、頭に情報を処理させる時間がない中で、メモをとっている状態なので、キーボードを入力している間は、ただキーボードをたたく作業をしている状態になってしまっていることが原因とのことです。

それに比べて、手書きでメモする方が、文字を書くのに時間を要するため、頭で情報を処理した上で、メモしているので成績が良かったと考えられます。

ちなみに他の論文で「デジタルのメモは集中力を減少させる」という研究結果が出ていますので、集中力の低下も成績に差が出た原因と考えられます。

従って、メモをとる際は、パソコンではなく手書きでメモした方が良いという結果が出ています。

バレンシア大学の研究結果は「紙の本を捨ててはいけない」

バレンシア大学の研究結果では、紙の本で読書すると集中力が継続しやすいので、記憶の定着も良いという結果が出ました。

今回の研究は、過去の「学習に関する研究」から精度の高い54件の研究結果から導き出したメタ分析となっています。

紙の本と電子書籍を比較した時の研究はいくつかありますが、研究結果に異なっていたので、正解と呼べるような見解がありませんでした。

しかし、今回のメタ分析の結果は、「明らかにデジタルの方が劣っており、文章の理解力が低い」ということでした。

今回の結果から考察出来たことは以下の2点です。

①読書に費やせる時間が短い環境の場合、紙の本で読書する方がデジタルで読書するよりも、顕著に理解度が高い

②紙の本の読書の方が、デジタルの読書に比べて、本の内容(ジャンル)に関係なく理解度が高い(専門書でも小説でも関係ない)

では、理解度の差はどのくらい出たかと言うと、デジタルデバイスの効果量は(-.21)と小さくなっています。しかし、-.21という数字は小さくて、紙とデジタルで差はないのではないのかと思うのですが、現実としては、この効果量の違いは意外と大きな影響を与える可能性があると研究者は伝えています。

特に、幼い時期(小学生など)の学習教材は影響力がとても大きいので、-.21という数字でも、実際はかなり理解力に影響していると考えられます。

デジタルネイティブ世代は例外なんじゃないの?

ひとまずは、紙の本による読書の方が理解力を向上させてくれるため、勉強にはもってこいです。

しかし、反対意見の立場もあります。今回の研究においても「デジタルに慣れてない世代」もかなり含まれていたため、デジタルネイティブ世代のみを対象にしたら、紙とデジタルで差がなくなる可能性もあるのではないかという意見もあります。

他の研究では、「デジタルが人間の集中力を奪う!従って電子書籍は良くない」という結果を発表している所もあります。

なので、まだ統一的な見解が出ていないともいえます。

最後に

しかし、これまでに発表されている様々なデータから考察するところ、現状かなり正解っぽいのが、時間がない時は、電子書籍で読むのは辞めて、紙の本で読みましょうということですね。

反対に時間があって、ゆっくり本を読める環境であれば、電子書籍と紙の本でそれほど大きな差はないようなので、電子書籍で本を読んでもOKといった感じです。

デジタルの慣れが、本当に理解力に影響を与えるかどうかはまだ不明ですが、現在は紙の本で読書をする方が効率は良いということですね。